20081019232540
クエスト004 歌姫ガーラ
柴崎@銀河企画
冒険者がクルガンとの戦いに敗れ、
ガーラの塔へ、ほうほうの体(てい)で戻ってくる前日、
ゾラリアの劇場では・・・
ステージに豊かなブロンドの髪の若い女が登場した。
黒いベストに黒のパンタロンという地味な衣装だったが、
それが剥き出しの腕の白さを引き立てていた。
リュートがゆっくりしたテンポで前奏をかなでると、
女は静かに歌い始めた。
「赤いバラは、私の心
あなたを想う、私の心
見てほしいの、私の花を
摘んでほしいの、私の心を
お願い
捨てないで、私のバラを
ほかの花と一緒にしないで
私の、ただ一本のバラを
お願い 」
最後の『お願い』を歌い終わると、
女の腕と首はがっくりと前に垂れた。
まるでバラの花がぽとりと落ちたようだった。
少しの間があって、女が顔を上げ、
ブロンドの髪をかきあげて、婉然とした笑みを浮かべると、
客席から熱狂的な拍手が起こった。
その様子は、魔術師がチャームで観客を魅了したかのようだった。
歌姫ガーラは、ひとしきり踊ると、ステージを降りて
客席をまわった。
(あたしはきれいでしょ)
ガーラは全身でそう言った。
(あたしを見て。あたしをきれいだといって)
男たちは称賛と恍惚が混じった表情でガーラを見ていた。
(もっと見て。そして、きれいだといってちょうだい)
歌姫ガーラは、最後に派手な投げキッスを送りながら
ステージから去っていった。
(鈴木銀一郎著「嘲笑う石像」の歓楽街のシーンより主要部を引用)
ガーラは、実際にチャームの魔法を使ったわけではないが、
客が楽しんでくれる技巧は熟知していた。
そのためには、彼女自身が美しいことが、
ひとつの前提でもあった。
ガーラに美への欲望が無いわけではなかった。
だから、クルガンの言うことはそれなりに理解していたし、
魔術師としてのクルガンから、様々な教えを受けたこともあった。
だが、ディスボールという名の神を信仰する気にはなれなかった。
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→ クエスト004 ベング高原の宝の洞窟1 に進んでください。
20081022112324
ふわぁ綺麗~(゚○ ゚)
ラセン
コレは駄目だぁ(〃д〃)
世の中の男性ほぼ落ちる…
女性でも(宝塚的な意味で)半数はイケる…
すべて主観ですがΣ( ̄□ ̄;)
神出鬼没じゃなければ追っかけしますね(〃д〃)
20081022133042
思い過ごしでしょうか?
水月狼牙
悲しい感じがするあの歌に深い意味を感じます。
ガーラさんは本当は賞賛されるよりも欲しいものがあるのではないでしょうか?
たとえば本当に一人の人と想い合う愛とか・・・
いくら熱狂的に賛美されても
穏やかで温かな心の交流…楽しい時も苦しい時も
人生を寄り添って認め合い補い合い励まし合い
一緒に生きる相手でなければ埋められない隙間があるのではないでしょうか?
本当はそれを求めているのに自身さえ気がつかないから
その寂しい隙間を埋めるために熱狂的な賛美を求め
また埋まらない隙間に焦れて熱狂的賛美を求めるという
悪(?)循環に陥っているのでないと良いのですが・・・。
あの歌には、そんな彼女の望みや恐れが表れているように思えて…。
普通に暮らしていても彼女なら男だけでなく幼子や女性だって
魅力的に感じて人は集まってくるでしょうし
あんなに求めなくても賛美されるでしょう?
彼女は癒えない喉の渇きを抱えた迷子のようです。
20081022170546
暁の旅人
ガーラさんが
むつかしい立場なのはわかった